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教科「情報」テキスト活用事例
評価支援ソフト“RubricChart”の利用について
東京都立武蔵村山高等学校 福原 利信
t_fukuhara@pine.zero.ad.jp
1.はじめに

 本校では,1年生に「情報A」を2単位設置している。旧カリキュラムでは3年生の数学Cでコンピュータを利用していた。新カリキュラムでは,3年生で情報の選択講座が2単位設置される予定である。現在の1年生のコンピュータの家庭での所持率は60数%程度で,入学時のスキル差は非常に開いており,入力が自由にできる生徒から,キーの位置を確認しながら入力の生徒もいる。

 本校の情報科では,生徒が「情報」という教科を楽しく学び,2年生,3年生の様々な場面で情報機器を適切に使いこなしてほしいという考えがある。そのためにも,校内の利用環境整備には力を入れていく予定である。

2.校内施設の利用環境
 平成14年5月に,東京都のパソコン教室整備としてリースで更新された。東京都では1教室40台プラス教員機という基準があり,これでは台数的に不足するクラスがあるので,自校予算で生徒機2台を購入し42台で運用している。OSはWindows XP Professionalで,生徒一人ひとりがIDとパスワードを持ち,自分専用のフォルダがサーバに作ってある。環境復元やドライブイメージを保存できるようなソフトウェアも同時に導入した。インターネット回線は地域ケーブル会社に8Mbps(実測 約2.5Mbps)で接続している。平成16年1月現在,学校周辺ではBフレッツの未対応地域となっているが,将来的にはより高速な回線への接続を切望している。

 校内LANは職員室内から始まり,少しずつ校内に広げている。また,物理的に生徒が利用する系統と校務処理を行う系統に分けている。昨年には,図書館にインターネットにアクセスできる端末を数台設置した。

 パソコン教室は,情報の授業以外に,文書処理,物理などでも利用されていて,稼働率が80%を超えており,他の授業で利用するには第2パソコン室やこれに代わる施設の整備も必要であると検討をしている。
3.授業形態
 情報Aの授業は,すべてをパソコン教室で2時間連続の授業をしている。連続の授業は,その曜日が行事などでなくなってしまうと2週間授業の間隔が開いてしまう,欠席の生徒のフォローが大変である,などのデメリットもあるが,実習などに十分な時間が取れるということを考え,今年度は2時間連続の授業とした。

 ほとんどの生徒は始業のチャイムまでにはパソコン教室でログインを済ませ,タイピング練習をしている。タイピング練習では,1学期から全員の記録を取り,上達度も自分で見られるようなソフトウェアを利用している。

 また,年間の教科書の利用スケジュールも年度当初に決めて,毎時間のはじめに6〜7ページ分の教科書の解説をしている。PowerPointやビデオ教材などを利用して,教科書を全員が開き,目を通すようにしている。本来なら,実習内容と適合した部分を実習に絡めて解説をする方が望ましいと思ったが,そこまでの年間計画を立てることができなかった。
4.年間計画
 本校では3学期制であり,以下のような年間計画で授業を進めている。教科書の内容と実習で学んだことについて,学期末考査で試験を行っている。また,学期に1回,希望者に対してワープロ検定を校内で実施している。

1学期
 実習
 ・パソコンの基本操作
 ・タイピング練習(TypingPro)
 ・文書作成(一太郎)
 ・表計算(Excel)
 ・メールの利用
 教科書 11ページ〜45ページ
2学期
 実習
 ・文化祭のポスター作成
 ・文化祭のレポート作成
 ・PowerPointを使った4コマ漫画の作成
 ・総合実習(班ごとによるプロジェクト学習)
 教科書 46ページ〜110ページ
3学期
 実習
 ・Webページの作成と情報発信
 教科書 111ページ〜131ページ

使用教科書 「情報A」(日本文教出版)
使用テキスト 情報A問題集
IT-Literacy 一太郎編
IT-Literacy PowerPoint編
IT-Literacy ホームページ作成編
5.活用事例(その1)

 1学期の評価では,教科書の理解と生徒一人ひとりの実習での到達度を重視した。授業へ取り組む態度なども,総合的に判断して評価した。

 2学期の評価で実習のプロセス評価や,自己評価,相互評価を取り入れたいと考えていたところにRubric Chartの紹介があった。まず,PowerPointを使った4コマ漫画の作成の実習から利用した。

(1)導入

 ソフトウェアをサーバにコピーして,誰もがアクセスできるよう設定するだけでよいので非常に簡単である。しかし,知識を持った生徒なら,ファイル全体を削除してしまうことも考えられると思い,データベースファイルだけを別のフォルダに置くなどしてみたが,これは上手くいかなかった。フォルダ名の最後に$を付けてネットワークから見えなくする,書き込みが終わったらバックアップを別の場所に取るなどの対策を取っている。

(2)評価項目の設定

 評価項目の設定とそれぞれの評価語の作成は,はじめてということもあり,どのように行えばよいのか苦労した。Rubric Chartを生徒の自己評価と授業評価の集計のためのツールと考えて評価項目を作った。授業中の取り組みなどは,従来通り教務手帳にメモを取ることにした。

(3)授業展開

 PowerPointの操作方法を含めて4時間で行った。Rubric Chartによる評価項目は,メールで生徒全員に送信をして実習を始める前に一読させている。操作方法の解説はIT-Literacy PowerPoint編を使い,全体での説明は短時間で終わらせ,作品の制作に入った。前回の授業の終わりにどのような作品を作るか考えておくようにと指示を出したが,なかなか進まない生徒もいた。

 最後の時間では5人ずつのグループにして,相互評価シートを配り,お互いの評価を行った。作品を見て良かった点と工夫した方がよい点を1行程度記入する,簡単なものである。相互評価シートはグループ内で回し読みをして,自分がどのように評価されているかの確認も行った。

(4)Rubric Chartによる自己評価

 「RubricChart生徒用.xls」のショートカットを普段利用する共通フォルダに置き,そこから起動させるようにした。削除などのいたずらを防ぐために,少しでもフォルダのある場所がわからないようにした。

 最初に行わなくてはいけない作業として,パスワードの登録作業がある。この作業には結構時間がかかったが,2回目からの利用ではこの作業は不要となった。

 ABCDの4段階の入力と,それぞれのコメントを入力してもらう予定だったが,時間の都合で総合評価のところに自分の作品の感想などを入力し,授業評価のところに授業を受けての感想を入力させた。パスワードの設定も含めて,15分程度は必要だった。パスワードの設定がなく,項目が少なければ10分以内で十分可能である。

(5)自己評価データの利用

 生徒による「登録・チャート更新」が終わったところで,教員機からRubric Chartによる自己評価データの編集画面を開き,生徒が入力した値やコメントが一斉に集計されていることを確認した。どのクラスでも,瞬時に集計されているところを見せると,生徒はパソコンを利用した集計に関心を示してくれた。

(6)Rubric Chart利用しての反省

 今回は4時間で終わる課題に評価項目を6つも設定してしまった点に無理があったと思う。時間数の短い課題では項目を少なくして,生徒からのコメントの収集と,簡単な自己評価程度に利用する方がよいと思う。さらに,授業を受けての感想を瞬時に集めることができるので,授業のスピードが速いとか,解説が難しいなどのコメントがあれば次の時間にはその修正を行うことができる。もちろん紙ベースで行うことも可能だが,集計され一覧になった電子データであれば全クラスの集計なども簡単にできるのは大きな利点だと感じた。

6.活用事例(その2)

 次に,総合実習でRubric Chartを利用した。この総合実習は,4〜5人の班でアンケートを作成し,クラスで実施し,データ処理をしてプレゼンテーションを行うというものである。発表までの作業時間数は8時間で,発表時における相互評価に利用してみた。

(1)項目の設定

 自己評価の入力項目に班ごとの相互評価の項目を作成した。項目は一つの班につき3項目とした。

・○班の総合評価
・○班のアンケート項目の内容
・○班のプレゼンテーションの内容

 項目のところに,この3項目×8班分を事前に準備をした。

(2)生徒による評価

 発表は各班3〜5分で行い,発表の後にそれぞれの項目についてコメントと評価を入力させた。発表者およびその班の者も,自己評価として入力を行わせた。Rubric Chartの入力はすぐにできるように準備していたので,班の発表後,3項目の入力は数分で行わせた。

(3)生徒の様子と入力データの活用

 生徒が入力を行うことで,発表を聞く態度や,発表全体が引き締まった感じとなった。紙ベースでの入力でよいのだが,Rubric Chartは入力終了後すぐに全体の集計を見ることができるため,生徒もその場で真剣に入力を行っていた。

 入力されたデータは,教員がチェックを行い,後日各クラスごとに一覧印刷して生徒に提示した。時間的な余裕があれば,中間発表を行い,お互いの意見を聞き,その後の修正に利用できればさらによい発表につながるのではないかと思う。

授業の様子
▲授業の様子

7.終わりに

 2学期中に2つの課題でRubric Chartを利用してみた。項目の設定などは各学校,課題により自由に変えることができ,色々な生徒に対応できると感じた。ただ,あまり細かく項目を作り,生徒一人ひとりの活動を評価しようと考えると,評価のための授業に陥ってしまうように思われる。生徒の活動の様子は,机間巡回などを通して記録を取っていけばよいのではないだろうか。

 自己評価に利用するところでは,自分自身の活動を振り返り,次の活動のための反省をすることができる。相互評価では,グループなどで直接話をして,コミュニケーションをとれればよいのだが,本校では,なかなか生徒同士でこれができない状況にある。全員が相互評価を入力することで,他者の発表や作品を真剣に見ようとする態度は大きく変わったと思う。

 生徒評価をしようとするRubric Chartの利用方法とは違うかもしれないが,Rubric Chartを利用することで,生徒からの意見集約が非常に簡単にできることがわかった。自己評価,相互評価に加え,授業評価など様々な評価の集計にも利用できるのではないだろうか。もちろん,紙で行ったり,CGIなどを利用すれば可能かもしれないが,何より設定が簡単に行え,集計までできるのがRubric Chartのよい点だと思う。まだ,利用されたことのない方にも集計システムと考え利用すれば色々なことができるのではないだろうか。

 今後は,パスワードの一括登録や,相互評価,授業評価などにも活用できるような総合評価システムとして,さらに発展をしていってほしいと期待をしている。

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